Wednesday, May 23, 2018

アメリカで医師免許を獲得する:マサチューセッツ州編 1

皆様お待ちかねの?アメリカ医師免許記事です。なんと言ってもこのブログの記事の中では、アメリカでの医師免許申請に関する記事がぶっちぎりでよく読まれています。いわばアメリカでの医師免許申請に関しては入門編なので、米国医師免許試験(USMLE)から学びたい方はリンクから是非この記事を読んでみてください。思えばあのときは泣きそうになりながら書類を準備してましたっけ。しかし!

今思い起こすとロードアイランド州の医師免許の申請なんてマサチューセッツ州に比べればディズニーランドに行くようなものでした。マサチューセッツ州の医師免許申請過程はうんざりする事ばかりでしたよ。ディズニーランドで楽しく遊んでいたと思ったら場面が突然 Mad Max: Fury Road に代わりイモータン・ジョー相手に戦っているようなものです。復習になりますが、アメリカでは州ごとに医師免許を申請する必要があるのです。ロードアイランド州の医師免許を持っていてもマサチューセッツ州で医療行為は出来ないのでした。なんて面倒くさいことでしょう・・・医師免許も連邦政府で一括管理してほしいものですよ・・・

というわけで、故あってマサチューセッツ州の医師免許も取ることになりました。というかついこの間取れました。2017年の11月に申請を開始して、2018年の5月にマサチューセッツ州の医師免許がおりたので、なんと6ヶ月かかったことになります。これは思い出してもうんざりするプロセスでした。ということでその免許申請の過程をボチボチ書いていきたいと思います。基本的に色々やりとりしたのは2017年11月から12月にかけて、あとは基本的に「待ち」の期間が多かったのですが。

(1)まずは申請書をダウンロードです。
https://www.mass.gov/service-details/apply-for-my-physician-license

なんだか読んでみると2018年3月から応募方式が変わったようですね。EngRishmanはここから申請書をダウンロードして、渋々読み込むことから始めました。この申請書、53ページもあります。しかも全部英語だし・・・(←おい!)EngRishmanは基本面倒くさがりなので、この時点ですでに心が折れそうです。

(2)マサチューセッツ州はFCVSを使える
Federation Credentials Verification Services (FCVS) は各州で別個にしないといけない書類作業をある程度簡略化してくれるサービスです。これはロードアイランド州の医師免許申請時に一度登録をしているので、基本的にここではあまり時間が取られませんでした。

というわけで、医師免許申請書です。13ページ目を読むと

Applicants utilizing FCVS for their core documents must also complete the following additional Board forms in accordance with the Board’s application instructions:

1. Full License application
2. Supplement
3. Moral and Professional Character form (sealed envelope)
4. State License Verifications (sealed envelopes)
5. Evaluation Form (sealed envelope)
6. National Practitioner Data Bank Profile (sealed envelope)
7. AMA Profile (sealed envelope)
8. Malpractice history form – listing all liability carriers since postgraduate training
9. Malpractice history reports from all carriers since postgraduate training
10. Malpractice documents
11. Legal documents, as required

と書いてあります。読んでいるだけで頭がクラクラしてきます・・・ちなみにFCVSを使用しないと

1.    Full License Application – every data field on the full license application must be completed
2. Current Curriculum vitae (month and year format)
3.    Supplement – all questions answered and supplement pages completed for any “yes” answers
4.    Authorization for Release
5. CORI Acknowledgment Form - notarized
6.    Electronic Health Records (EHR) Proficiency Form
7.    90-Day Form
8.    Certificate of Moral and Professional Character - notarized (sealed envelope)
9. State License Verifications (sealed envelope; electronically from State Board; or Veridoc)
10.  Supervisory Board Evaluation Form(s) (sealed envelopes)
11. Medical Education Verification (sealed envelopes or through FCVS)
12.  Postgraduate Verifications (sealed envelopes or through FCVS)
13.  Examination scores (sealed envelope; through FCVS; or electronically through USMLE)
14.  National Practitioner Data Bank (sealed envelope)
15.  Malpractice History Form – listing all liability carriers since postgraduate training
16.  Malpractice history reports from all carriers since postgraduate training
17.  ECFMG Certificate (international medical graduates only)
18.  Medical School Transcripts and notarized copy of Diploma (international medical graduates only)
19.  Legal documents, as required

必要書類がこれだけ必要になります。泣きそうです。せっかくFCVSに登録しているし、もちろんFCVSを使いました。

ちなみにこの中で自分では記入できないのが
[ ] Moral and Professional Character form (sealed envelope)
[ ] State License Verifications (sealed envelopes)
[ ] Evaluation Form (sealed envelope)
[ ] National Practitioner Data Bank Profile (sealed envelope)
[ ] AMA Profile (sealed envelope)
[ ] Malpractice history reports from all carriers since postgraduate training

この中で
[ ] Moral and Professional Character form (sealed envelope)
は信頼の置ける同僚に頼むことが出来ます。

[ ] Evaluation Form (sealed envelope)
これは上司にお願い

というわけで、ま、すぐに準備は出来ます。

[ ] State License Verifications (sealed envelopes)
ロードアイランド州にお願い。お金かかります(涙)

[ ] National Practitioner Data Bank Profile (sealed envelope)
[ ] AMA Profile (sealed envelope)
この二つはそれぞれWebsiteから比較的簡単にお願いすることが出来たのでした。

[ ] Malpractice history reports from all carriers since postgraduate training
問題はこれです。要は自分が過去に医療訴訟に巻き込まれていないことを医療訴訟専門の保険会社(これは病院が契約している)に問い合わせ、保険会社から証明文書を作ってもらわないといけません。現在の病院に指導医として就職してから、保険会社が一つの会社であれば良いのですが、病院も年によって契約する保険会社を変えますし、保険会社によっては既に医師免許を申請時点で存在しなくなってしまった(例えば合併吸収など)ものもあるので大変です。病院の事務に教えてもらいながらいくつかの保険会社に連絡を取ります。

というわけでこの医師免許申請書類を準備するだけで1ヶ月ほどかかってしまいました。普通に医者としての仕事もしながらなので大変です。トホホ・・・

アメリカで医師免許を獲得する:マサチューセッツ州編 2に続く







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Female か Woman か

コンマの位置が気になって夜も眠れないEngRishmanですが、目覚めも爽やかにこのブログを書いております。(←しつこいって)

さて、表記の問題、如何でしょうか?EngRishmanはアメリカの医学部で教官をしているため、よく研修医の症例報告(Case report)などの添削などもします。当たり前ですが、彼らは英語で書いてきます。英文で書かれた症例報告を偉そうに日本人のEngRishmanが添削するわけですが、これ結構間違いを見つけるんですよね。中学・高校のときご指導いただいた英語の先生が私がアメリカで英語の添削しているなんて話を聞いたら腰を抜かされると思いますが(S先生、EngRishmanも英語頑張って勉強続けてます、はい)。

というわけで気になるのが表記の問題です。プレゼンでもそうなのですが、結構 "A 83 y/o female" とか書く人いるんですよね。省略があるし、冠詞は間違ってるし(ちなみに冠詞は"An"ですよね)「何だかな〜」という感じです。正しくは "An 83-year-old woman" と書くべき所でしょう。症例報告のお手本は今週のオラが街の医療系タウン情報誌、New England Journal of Medicine, Case Record をご参照くださいませ。でもそれを指摘すると、「なんで "female" は駄目なの?」って結構質問されます。何でって・・・あなたアメリカ人なんだから、あなたが私に教えてよ〜と思わないでもありません。"man" や"woman" は 対象が"human"という情報を含み、"male" "female" はspecies non-specificだから、と習いましたがどうなんでしょ??偉そうな事を言いますがEngRishmanはフェローの時に上司に厳しく指導されて、しぶしぶ覚えました。それ以降英文誌の症例発表を気をつけて読んだり書いたりするようになりました。主立った英文誌では見事に皆さん "man" "woman"で統一なさっています。というわけで、細かい点ですが、そういうことらしいです。これでゆっくり夜も眠れそうです(←しつこいって)