Sunday, November 05, 2017

Laennecと聴診器

皆様、お久しぶりです。このブログへの投稿も一年近く空いてしまいました (すみません、この文章、書いておいてアップロードが遅くなったのでこんな書き出しになっております)。忙しい日々を過ごしていたのでなんとなくブログから離れてしまっておりました。さて、久しぶりにGouldを聞きながらBachの曲に関して何か書こうかと思ったらなんと最後のブログもBachに関してでした。

というわけで、いつもバッハやグールドの事ばっかり書かずにたまには自分の仕事にまつわることでも書きましょうか?ということで唐突ですが昨年2016年は聴診器生誕200周年でした。フランス人の呼吸器内科医・Rene Laennecが聴診器を生み出したのが1816年の9月、というわけでちょうど去年の今頃が聴診器生誕から200年経っていたのですね。

Laennecが生まれたのは1781年の2月17日ですので聴診器を生み出したときは35歳という若さでした。彼はそれから3年後に間接聴診法に関する教科書を書き上げています。聴診器を生み出してから3年後には現在の聴診法のもととなる何百ページにもわたる教科書を書き上げているのは驚嘆に値します。

残念ながらLaennecは結核により45歳という若さでなくなってしまいます。彼は死ぬ間際にかれの甥に自分の呼吸音を聴診させ、それを説明を聞きながら死期を悟ったと言われています。彼が聴診をしている絵が残っていますがその絵を見る度に、その険しい表情、真摯な聴診の姿勢に心を打たれます。「自分ももう少し頑張らなくっちゃ」と思います。現在自分はPoint-of-Care Ultrasoundという「聴診器のように超音波を使う」コンセプトで米国や日本でお話をさせていただくことが多いのですが、Laennecの爪の垢でもせんじて飲みながらがんばりたいと思います。ちなみに僕自身かれのことが気になったので少し調べて論文にさせていただきました。以下参照。

(Reference)

1. Roguin A. Rene Theophile Hyacinthe Laennec (1781-1826): the man behind the stethoscope. Clin Med Res 2006;4:230-5.

2. Minami T, Minami A, Manzoor K, Saraya T. Modern technology in respiratory medicine: Lung ultrasonography–Is it time for the stethoscope to give up its throne? Pulm Res Respir Med Open J. 2016; 4(1): 19-20. doi: 10.17140/ PRRMOJ-4-133


Saturday, November 04, 2017

Testamur

年を取ると記憶力も衰えますが、目も衰えます。勉強すれどすれども、知識は両手からこぼれ落ちる水のように頭から抜けていきます。EngRishmanもご多分に漏れず細かい字を読んだり、一夜漬けで記憶、などと言うことが実に苦手になって参りました。そこで困るのが試験勉強。EngRishmanはアメリカで内科医をしているので、10年たつと米国内科専門医試験を更新しないといけません(思い起こせばこのブログを始めた10年前にちょうど初めての専門医試験を受けたのでした)。この勉強が実に大変、教科書を読むのも字が小さくて目が疲れるし、問題といてもすぐ忘れるし(いつだって新鮮な気分で勉強できるよ!←あかんやん)でひーこら言いながら(泣きそうになりながら、とも言う)勉強し、ようやく今年の初めに合格を確認して無事内科専門医資格を更新したのでした。この更新作業があと二つも続くと思うと(呼吸器内科と集中治療、数年後)げっそりですが、まあこの仕事を選んだからには一生勉強と腹をくくっていくつもりです。

さて、EngRishmanは内科における超音波診断を専門のひとつにしてます。Point-of-care ultrasoundと言って、専門科だけではなく、一般内科でも聴診器を使うように超音波を使う(それもきちんとした決まりをもって)というコンセプトです。一般内科の先生方向けのP超音波診断(POCUS)のカリキュラムを作ろうと、最近は米国だけでは無く、日本でも時々お話をさせていただいております。そこで、そうやって偉そうに?話をするからには、ちょっと専門医試験をうけといても良いだろうと、循環器の先生方が受験されるNational Board of Echocardiographyの専門医試験も受けてきました。この試験勉強がきつかった。実にきつかったです。文字通り泣きそうになりながらなんとかこなし、先月無事合格を確認したところです(良かった・・・)。ところでEchocardiographyの専門医資格(Diplomate)は試験を合格しただけではもらえず、循環器のフェローシップを米国でこなさないといけません。私は呼吸器内科医なので、この条件は満たさず、かわりに「Testamur」という称号を頂きました。辞書をひもとけば「学位記」「卒業証書」などと出てきますが、要は「試験を受けて合格した人」という意味になるらしいです。こんな単語知りませんでしたよ、と英語に関しても「人生いつまでたっても勉強」なのでした。